とうとう、ここまで来てしまった。これでもう後戻りは出来ない。
そんなことを思いながら、まだ動いているバスの中で、真田は決意を固めるようにもう一度ぐっと掌を握り締める。
きっと彼女はもう、自分の抱くこの気持ちに気付いているだろう。
そして、同じように自分もまた、彼女が抱いてくれている気持ちに気付いているつもりだった。
そう――ほぼ間違いなく、同じ気持ちでいるはずなのだ。
ただ、ここまで確信に近い予感を抱いてもなお、情けないほどに不安を感じてしまう。
先ほどから、彼女が何度か表情をふっと曇らせる瞬間がある。
急な用事で出かけることになった家族を心配しているのだとは思うが、その表情が曇るたびに言い知れぬ不安が襲い、このままだと今日も言えなくなりそうな気がした。
だから、今日必ず伝えるという誓いを自分自身に立てるためにも、真田は前もって「話がある」と彼女に伝えたのだ。
正直なところ、不安は今でも感じている。
しかし、もう気にしても仕方がない。
「その時」は今日中に必ず来るのだから、それまではただ、彼女と共に祭りを楽しもう。
自分にそう言い聞かせながら、真田はバスが終点に着くのを待った。
「――駅前バスターミナル、終点です。ご乗車ありがとうございました」
アナウンスが車内に響き、バスがゆっくりと停車する。
「着いたようだな」
真田は、そう呟きながら腕時計で時間を確認した。
柳達との約束の時間までには、まだ充分な余裕がある。
これならば約束の時間に間に合いそうだと、真田は胸を撫で下ろした。
二人がバスから降りると、駅から延びている大通りに、たくさんの人が流れていっているのが見えた。
もう既に祭りは始まっているようだ。
車が規制され、歩行者天国となった通りには、たくさんの屋台が軒を連ねている。
「あ、もう始まってるんですね!」
「そのようだな」
その声に応えて、真田はふとに視線を落とす。
彼女は、興味を抑えきれないとばかりに背伸びをして、大通りの方を覗き込んでいた。
その姿が可愛らしくて、真田は思わず笑みを零す。
「では、待ち合わせ場所に向かうか、」
「はい!」
彼女の返事にもう一度頷き返し、真田は彼女を連れ立って駅の中へと入っていった。
◇◇◇◇◇
二人は、先ほどそれぞれ切原と柳に教えてもらった場所を思い出しながら、待ち合わせの噴水前へと足を進める。
金曜日夕方、しかも大きな祭りが開催中とあって、駅構内はいつもより人がごった返していた。
「うわ、すごい。人がいっぱいですね」
呟くようなの声が聞こえ、真田はふと傍に視線を落とす。
彼女は、真田と距離が離れないように、一生懸命着いてきているようだ。
「大丈夫か? もう少しスピードを落とした方がいいか?」
「いえ、大丈夫です。このカッコで歩くのにも、大分慣れてきました」
そう言って、彼女は笑みを浮かべる。
だが、言葉とは裏腹に足取りはまだ少し危なっかしい――そう思った瞬間、自分の身体に軽い衝撃を感じた。
誰かにぶつかったのだと気付き、真田が顔を上げると、自分たちより年上と思われる男女二人連れが目に入る。
仲良さそうに手を繋いでいた二人は、ほぼ同時に口を開いた。
「あ、ごめんなさい」
「すみません」
ぶつかったのは女性の方だったが、二人は一緒に頭を下げる。
「いえ、こちらこそ余所見をしていましたので。申し訳ありません」
真田もまたそう言って頭を下げると、そのままその二人は軽く会釈して去っていってしまった。
思わず、真田はそんな二人の後姿を見つめる。
(――手、か。ああやって繋いでおけばはぐれることはないし、この人込みでも、いざという時すぐに彼女を支えてやれそうだが……)
ふとそんなことを思い、ちらりと彼女の手に視線をやった。
片手には可愛らしい巾着袋を携えていたが、もう片手は空いている。
そして、今度は自分の手をじっと見つめた――が、そのまま真田は固まってしまった。
この手を伸ばして、彼女の手を掴めばいいだけなのに、そんな簡単なはずのことがなんだかものすごく難しく思えた。
手を繋ぐことを嫌がられるとは思わないが、まだ正式に付き合っているわけでもないのに彼女の手に触れるなど、そんなことをしてもいいものだろうか。いやしかし、「はぐれないように、いざという時支えてやれるように」という目的があるのだから、問題はないのではないか――
そんなことをぐるぐると考えてしまい、真田はそのまま動けなくなった。
「……先輩、今、手でも打ったんですか? 大丈夫ですか?」
小さな声が聞こえて、真田ははっとする。
気がつけば、彼女が不思議そうに自分を見上げていた。
「あ、ああ……いや」
その目を見ていると、なんだかもの恥ずかしくなって、顔が熱くなった。
人混みの中で彼女とはぐれないようにするためで、特に下心があるわけではないのだからと、まるで誰かに言い訳するように自分に言い聞かせる。
しかし、心臓は否応無しに高鳴ってしまう。
そんな自分の心中など知るはずもなく、彼女はきょとんとした顔で、問いを重ねてきた。
「あ、それともさっきの人たち、お知り合いだったんですか?」
「いや、そういうわけではない。すまなかった、行こう」
そう彼女に答えると、結局真田は自分の掌をただぎゅっと握り締める。
そしてそのまま、待ち合わせの場所へと歩き始めた。
手は繋げなかったが、人混みの中歩きづらそうな彼女を気にして、度々真田はの方に視線を落とす。
それに気付いたのか、彼女もまた何度も真田を見上げては、はにかんだように笑った。
――ただ、たまにそのまま視線を逸らすのだが、その時の彼女の表情が、やはり何かを気にするように曇る気がする。
その度に真田は妙な胸騒ぎがしたが、気のせいだと自分に言い聞かせて、その感情を押し留めた。
やがて、待ち合わせの噴水が見えてきた。
噴水の側にある時計は、約束の時間の五分前を指している。
「ふむ、間に合ったようだな」
「そうですね。たち、もう来てるのかな」
そう言うと、彼女はきょろきょろと首を動かして、みんなを探し始めた。
真田も同じように、噴水の辺りを見つめて柳達の姿を探す。
「いたか?」
「……えっと……あ!!」
彼女の声が、ひときわ明るく跳ねた。
「、いました!! 切原君も……あ、柳先輩も一緒みたいです!」
そう言った彼女の視線の先を、真田も追う。
すると、噴水の側に見知った顔を見つけた。
「ああ、本当だ。もう来ているようだな」
「私たちが最後みたいですね」
二人がそんなことを言い合っていると、向こうもこちらの姿を視界に捉えたようだった。
最初に彼女の友人であるがこちらを指差し、やがて他の二人も視線を向ける。
その瞬間――切原と柳の視線が少し驚いたように止まったのを、真田は見逃さなかった。
自分の浴衣姿を見て驚いているのだろうと直感して、真田はつい顔が熱くなる。
一体、何を言われるのだろう。
「ー!! こっちこっちー!!」
着ている浴衣の袂を抑えながら、が元気よく手を振る。
同じように手を振り返し、友人の元へと駆け寄るの後を、真田はゆっくりと着いていった。
しかし、内心は柳と切原に何を言われるのか、気が気でなかったのだが。
「待った? ごめんね、。柳先輩も切原君も、ごめんなさい」
「……待たせてすまなかったな」
彼女に続いて、真田もやや視線を逸らしながら、おそるおそる彼らに声をかける。
「大丈夫、私たちもさっき来たとこ」
「ああ。まだ時間にはなっていないのだし、気にすることは無いぞ」
「そーそー、大丈夫!」
三人の返事を聞き、はホッとしたように笑みを浮かべる。
「わ、その浴衣可愛いね!!」
「ありがとう! のも綺麗な色ですっごく可愛い!!」
女子同士特有の賑やかな雰囲気を纏いながら、二人は手を取り合って明るい声ではしゃぎだした。
ああやっていると、やはり彼女は一般の女子だ。
自分のような堅物な男には、本来なら縁遠い存在なのだろう。
可愛らしくはしゃぐ彼女を遠目で見つめながら、真田は何故か少し寂しい気分になり、小さな息を吐いた。
「……弦一郎」
その時、ふいに後ろから声を掛けられて、真田はびくっと肩を震わせた。
思わず大袈裟に振り向くと、そこには柳と切原の顔があった。
「な、なんだ。どうした」
慌てて返事をする真田に、二人は無言でにいっと笑みを浮かべる。
そして、はしゃぐ女子二人に聞こえないように、柳は真田にそっと囁いた。
「まさか、お前まで浴衣を着てくるとはな」
「ま、まあ、母に着せられたようなものでな。せっかく祭りに行くなら、と」
なるべく平静を装って言うと、真田はごまかすように小さな咳払いをする。
すると、今度は切原がからかうように笑って、真田の顔を見上げた。
「しっかし、浴衣着て二人で並んでると、もう付き合ってるようにしか見えないっすよ? あ、もしかして、もう言っちゃったんすか?」
「ばっ……馬鹿者!! そんな時間がどこにあったと言うのだ!!」
切原の「付き合ってる」と言う言葉に、真田は顔が沸騰したように熱くなった。
それとは対照的に、切原は頭の後ろで手を組み、軽くけらけらと笑う。
「いくらでもあったっしょ。バス乗ってる間とか、歩いてる途中とか。ずっと、と二人っきりだったんでしょ?」
「そ、それはそうだが……そんな世間話のついでに言えるようなことではないだろうが!」
「あ、副部長ってそういうの拘る派なんすか? 理想の告白とかあったりするんすかね?」
そう言って、切原はあからさまにからかうような笑みを浮かべる。
切原のような後輩にからかわれるのは、柳ら同年代の者たちにからかわれるよりも余計に恥ずかしく、腹立たしい気がした。
そのせいか、真田の声は無意識に大きくなってしまった。
「赤也……お前、俺をからかうとはいい度胸だな!!」
「落ち着け、弦一郎。が見ているぞ」
柳に言われ、真田はハッとする。
すると、確かに女子二人の視線がこちらを向いていた。
もしかして会話が聞こえてしまっただろうかと、真田がドキドキしていると――彼女の親友のが、けらけらと笑い声を上げた。
「赤也君、早速真田先輩に怒られてるの? もう、一体何したのよー」
その言葉に、隣にいるもまた、くすくすと笑う。
どうやら、会話が聞こえていたわけではないようだ。
真田がホッと胸を撫で下ろしていると、柳がこちらを一瞥し、くすりと笑う。
自分の焦りが彼に見透かされたような気がして、真田はふんとそっぽを向いた。
「では、そろそろ行くか」
「そっすね!」
柳の言葉に切原が頷く。
そして、五人は動き出した。
一同は、祭りの会場である大通りへと出た。
左右に並ぶ祭りの屋台。電柱や建物の外壁など、町のあちこちに賑やかに彩られた祭りの飾り。
普段学校帰りなどによく歩く駅前通りの町並みは、いつもの様子とは完全に表情を変えていた。
同じように、そこを歩く人々の様子も、いつもとは少し違っている。
自分たちのように浴衣姿の者も多く、浴衣を着た男性もちらほら見受けられた。
真田は、もしかしたら浴衣を着ることで多少なりとも悪目立ちするのではないかとも思ったが、これならば大丈夫かと内心安堵する。
「ね、どこから行く?」
「うーん、どうしよっか。迷っちゃうね」
「俺、腹減った。なんか食いてー」
後輩たち三人は、仲良さそうに話しながら、どんどん祭り会場の通りを進んでいく。
真田は、そんな三人の少し後ろを、柳とともに着いていった。
こうなってしまうと、彼女とは全く話せなかった。
彼女と話したい。彼女を構いたい。
そうは思うものの、あの中に割って入って彼女に話し掛けることなど出来るはずもなかった。
楽しそうに同年代のふたりと話す彼女を後ろから見つめ、真田は小さな溜息を吐く。
「弦一郎」
「なんだ、蓮二」
ふいに話し掛けられ、真田は柳の方を向く。
すると、柳は見透かすようにふっと笑って、真田に囁いた。
「なんだか非常に物足りなそうに見えるが、俺の気のせいか?」
「……ああ、お前の気のせいだな」
「そうか? 俺にはそう見えないが」
真田をちらりと一瞥し、柳は含むように笑う。
この親友にはどうせ何を言っても無駄だろうと思うと、真田はそれ以上反論する気にはならなかった。
とはいえ、彼の言葉を素直に肯定してからかわれるのも嫌だったので、真田はただふいっと顔を背ける。
そんな真田に、柳は追い討ちをかけるように言った。
「もし、お前が今日までにちゃんと気持ちを告げていれば、今日は二人きりでデートになっていたかもしれないがな。先延ばしにしたお前の責任だ、少しは我慢するんだな」
「う、うるさいぞ蓮二」
「耳が痛いか? ならば、今日こそはちゃんと伝えることだ」
そう言って、柳はまたくくっと笑う。
真田は、そんな親友を困った顔で見つめた。
――その時。
「……あの、真田先輩、柳先輩」
「副部長、柳先輩、ちょっといーっすかー」
ふいに名前を呼ばれ、真田ははっと顔を上げて前を向く。
すると、前を進んでいた後輩たちが、こちらを向いて手招きしているのが見えた。
当然その中には彼女の顔もあり、真田の脈が少し速度を上げる。
「お前たち、どうした?」
隣の親友が冷静にそう返し、足を速めて後輩たちに近づいていく。
慌てて、真田もそれに続いた。
二人は数歩で彼らに追いつき、改めて柳が彼らに尋ねる。
「どうした、何かあったか?」
その声に応えたのは、だった。
「えっと、あれ食べよっかって話してたんですけど。先輩たちは、どうします?」
そう言って、が前方の一点を指差す。
その指の先を視線で追うと、そこそこ長い列が目に入った。
「……あれは一体何の列だ?」
真田は思わず、誰ともなしに尋ねた。
すると。
「クレープ、です」
控えめな小さな声でそう答えたのは、だった。
彼女と、クレープ。
その組み合わせに、真田は自然と胸の奥が熱くなる。
「クレープ……」
「はい。クレープ、です」
呟くように繰り返した真田に、どこかはにかんだような表情を浮かべ、はこくんと頷く。
きっと、彼女もまた自分と同じようにあの日のことを思い出しているのだろう。
そう思うと、なんだか恥ずかしいような、しかしそれ以上にとても嬉しいような気がして、真田の胸は自然と高鳴りを増した。
「ふむ、クレープか。俺はあまり好まないな」
そう言って苦笑した柳は、きょろきょろと周囲を見渡す。
やがて、何かを見つけると、クレープの丁度向かい側にある屋台を指差した。
「俺は、あちらのタコ焼きに並んできてもいいか」
柳の言葉に追随するように頷いて、切原が声を上げる。
「あー、タコ焼きっすか。いいっすね。俺もそっちにすっかな」
「弦一郎はどっちにするんだ?」
「ふむ、俺は……」
柳の問い掛けに、真田が口を開きかけた途端。
「副部長がクレープなわけないっしょ! 副部長とクレープって、接点なさ過ぎっす」
けらけら笑った切原が、真田の言葉を遮った。
確かにもとよりタコ焼きを選ぶつもりではあったが、そう言われるとなんだか馬鹿にされたような気分になる。
むっとしながら、真田は切原を睨んだ。
「お前はいちいち失礼な奴だな。俺がクレープを食べたらおかしいのか?」
「おかしいっす」
「貴様……」
素で即答する後輩に、真田は思わずわなわなと握りこぶしを作る。
そんな真田をなだめるように、柳が真田の肩をたたいた。
「まあ、落ち着け。ならば、弦一郎はクレープに並ぶということでいいんだな?」
「い、いや」
慌てて、真田は首を横に振る。
ついむきになってしまったが、クレープを選ぶつもりはないのだ。
以前一口食べたとき、決して美味しくないと思ったわけでは無いのだが、やはり一人でひとつ丸々を食す気にはなれない。
「俺も、タコ焼きの方でいい」
「やっぱタコ焼きの方なんじゃんか……」
切原がとても小さな声で入れた突っ込みは、しっかり真田の耳に届いていた。
真田は、無言でじろりと切原を睨む。
――すると。
「切原君。真田先輩、クレープ食べたことあるよ」
背後から、可愛らしい声が聞こえた。
思わず真田が振り向くと、その声の主であると視線が合った。
彼女は恥ずかしそうにしながらさっと視線を逸らしてしまったが、まるで自分を庇うように言ってくれた彼女に、真田の胸がまた速度を増した。
「え、マジ!?」
素っ頓狂な声を上げて、切原が驚きを露にした。
先ほどから煩いままの自分の心臓を気にしつつも、真田は「ああ」と頷いて続ける。
「一口だが、食べたことはある。かなり甘かったが、あれはあれで悪くは無い。ただ、やはり一つ丸々食べるほどではないから、今回も遠慮するというだけだ」
「まじっすか! うわー……副部長がクレープ食ってるその光景、ある意味めっちゃ見てみてえ……」
目を丸くしてそんなことを言う切原に、真田は再度むっとする。
「それは俺のデータにも無かったな。弦一郎、いつの話だ?」
そう問い掛けてきたのは、柳だった。
「一ヶ月ほど前の話だが」
「ほう、一ヶ月ほど前とはかなり最近だな。時期的に言うと――部活の買出しに行った日、俺の誕生日だったあの日か?」
そう言って、柳はにやっと笑う。
――もしかして、まずいことを言ったのではないだろうか。
そう真田が直感したのと、柳が口を開いたのは、同時だった。
「そしてそれをが知っているということは、あの日二人で行動していた時に食べたということだな?」
柳がそう言った瞬間、真田の顔がかあっと熱くなった。
思わず彼女の方を向くと、同じように顔を赤くしている彼女と目が合う。
そして、ややあってから、真田は柳に頷いた。
「あ、ああ」
「あの日、時間ありましたしね」
そう言って、彼女は何かをごまかすように大袈裟に笑う。
すると、切原がにやりと笑った。
「へー、あの日、そんなことしてたんすかあ」
「だ、だって本当に時間あったんだもん。幸村先輩のとこいくまで時間潰さなきゃいけなかったし! それになんかそのクレープ屋さんテレビで紹介されたって書いてあってね、すっごく美味しそうだったし、もうすぐで売り切れそうだったし、私はおなかもすいてたしさ!」
言い訳するように、慌てて言う。
そんな彼女をフォローするように、真田も言う。
「言っておくが、買出しの用事が済んでからの話だ。やましいことは何一つ無いぞ」
「別にやましいなどとは言っていないだろう。弦一郎、。少し落ち着け」
柳の言葉に、真田は彼女と顔を見合わせる。
そして、二人は赤い顔で、お互い苦笑し合った。